データで見る植民地朝鮮史 > 朝鮮人労務者強制連行

資料:特高月報に見る、強制連行された朝鮮人労務者の実情



 ここでは、1943年1月〜1944年6月の特高月報に掲載された事件のうち、日本に動員された朝鮮人労務者が会社または日本人から何らかの被害を受けた事が発端で起きた事件をピックアップしてあります。
 事件の発端を見ることで、当時の朝鮮人労務者がおかれた環境をかいま見る事ができます。また、警察・当局の日朝双方への対応を比べることで、そうした環境への公権力の姿勢を知ることができます。

 なお原則として、警察介入の原因となった事件の核心部分は書いてありません。この点はご注意願います。
 理由は単純に、要点に絞って欄と労力を節約したためです。お知りになりたい方は、図書館に行って特高月報を自ら御確認ください!(笑) ←たまには書いてみたい


 特高月報とは、戦前の特別高等警察が内部向けに出していた極秘の月報です。
 戦後、1970年代に復刻版が出版されたので、これを置いてある所にアクセスができさえすれば、1930年3月号から1944年11月号(同年5,9月は欠)を読むことができます。

 この特高警察、学校の授業では(最近は扱わないかな?)思想取締り・弾圧が任務だったと教わったかと思いますが、実は在日朝鮮人の監視も主な任務に含まれていました。従って、特高月報には在日朝鮮人の動き、そして日本に強制連行された朝鮮人労務者がらみの事件についても記事が掲載されています。

 そういう組織の月報ですから、いわゆる 「反日」(笑) 的視点が入り込む可能性は皆無です。「反日」 を弾圧するのが任務の組織ですからね。
 その一方、官憲の視点で、官憲に都合よく解釈あるいは矮小・歪曲したと見られるきらいが多々あります(後日実例を掲載します)。その点は割り引いて読まねばなりません。
 割り引いて読んでもなお、離職・自由離脱は警察ぐるみで阻止され、朝鮮人労務者への暴力は横行し、しかも殴打程度の暴力はなんら取り締まられていなかった事を明らかにできます。「自分の見たことが無いものは存在しない」 と言い張る幼児性の強制労働まぼろし論や高待遇説は、特高警察の資料とすら矛盾するものです。

 記事はごていねいに、『国民動員計画による移入朝鮮人労務者の状況』 と題して、既住コリアンの事件とは別建てで掲載されています。ですから、下記に紹介する事件事例は全て、強制連行された労務者に限られた事例です。
 なお、特高月報に内容が載った事例は全体のごく一部です。1944年11月の月報によれば、同年1-11月に起きた 「移入朝鮮人各種紛争議」 は計303件、参加者15,230人ですから、月平均28件ほどの紛争が警察当局に認知されていた計算になります。


分類

記事

事件

警察・当局の対応

場所 事件の発端 朝鮮人
労務者側
鉱山・
日本人側

 暴力系

殺傷 1943 10 181 樺太
金山飯場
内地人労務係員等五名にて逃走移入労務者二名を隊員一同の面前にて私刑を加へ、更に梁につり下ぐる等なし、一名を致死せしめ、ほかの一名に重傷を加へたり 関係者検挙
取調中
不明
1944 4 79 福岡
大峯炭坑
…指導員五名が移入朝鮮人労務者の入坑前の検身に際し、窃盗及逃走容疑ある李山興麟当三十五年を発見 詰所に連行殴打し、遂に同人は同日午後一時三十分死亡せり 45名検挙 10名検挙
傷害 1943 10 182 福岡
海老津炭坑
内地人労務者数名が泥酔の上些細のことより朝鮮人副舎監と口論傷害したる 4名を検挙取調中 2名を検挙取調中
日常的暴力 1944 2 92 樺太
日本製鉄
泊岸鉱業所
…内地人指導員等は移入朝鮮人労務者の訓練に際し、最近動もすれば私刑的制裁を加ふる傾向ありたる 主謀者五名検挙取調、一件記録のみ送局 記載なし
1944 4 82 樺太人造石油
内淵鉱業所
内地人金沢寮長、森谷補導員は平素より鮮人労務者の取扱苛酷なること乃至偽造枡により酒の不正配給をなすこと等の事あり 主謀者以下27名検挙、書類のみ送致 度量衡法
違反として
取調中
暴力
(労働強制)
1943 7 105 福岡
嘉穂鉱業所
労務係員が、逃走労務者を殴打したるを聞知し 主謀者13名を検挙 記載なし
1943 5 75 秋田
古河阿仁
鉱業所
労務係某が飲酒帰山途中 所用のため下山せる嘗て逃走したる朝鮮人に出会ふや、再び逃走するものと誤解 殴打し、之を詰問せる隊長を傷害したり 関係者取調中 将来の労務管理につき警告
1944 4 82 宮城
海軍飛行場
菅原組
…鮮人労務者某が二月十七日病気の為休業したき旨現場指導員に申出たる所、右指導員は仮病ならむと之を拒否したる上同人を殴打せり 4名送致、全員に罰金30円の判決 記載なし
1943 10 182 岩手
西松組
鉄道工事場
内地人指導員が怠慢なる移入労務者某を説諭中殴打したる 主謀者11名を検挙、厳諭、釈放 記載なし
1943 11 87 福岡
三井三池
鉱業所
前記移入朝鮮人労務者山本栄均は十月十九日二番方として午後〇時三十分入坑すべく坑口繰込場へ赴きたるも当日割当られたる作業箇所が前日と同一箇所にして暑気烈しく作業に耐えずと申立て、作業箇所の変更方を申出たるも係員に於ては明日考慮すべきに付本日は此の儘就労すべしと勧説以て極力入坑を慫慂したるも、山本は飽迄之に応せずそのまま帰寮…(中略)…何等改悛の情なく暑さを理由に飽迄自説を固持して譲らざる為 舎監も他隊員への悪影響を考慮し、改悛の情なき憤怒と相俟って同人を殴打したり 22名検束 労務管理の是正につき警告
暴力
(外出統制)
1943 11 90 福岡
貝島
大之浦炭坑
十月十九日同砿山の公休日に当り…(中略)…寮生中より十数名の逃走者を出したる事もあり かつ訓練規則にも違背するを考慮し極力之を慰撫制止したるが 一方 隊長豊田の言動を信じたる隊員の外出準備中なるを発見したる為 隊長の扇動事実を知らざる中村指導員は逃走準備中なりと誤認し事務所に連行訓戒の意図を以て殴打したり 主謀者1名検束 労務管理の欠陥を指摘
1943 4 98 福岡
三井山野
鉱業所
移入朝鮮人労務者九名が、石炭増産目的達成の祝酒に泥酔し、無断外出したるを舎監が発見し、説諭したる所、内三名が反抗的態度に出でたるを以て舎監は之を殴打したり 主謀者4名を検挙取調べ、送還 記載なし
1943 5 74 東京江戸川
内外製鋼所
朝鮮人労務者某が四月四日空腹を理由に訓練期間中無断外出帰寮したるを守衛に発見諭止さるるや、抗弁し、容易に肯ぜざるを以て守衛は同人を欧打(ママ)したり 主謀者1名を検束取調べ、今回に限り釈放 記載なし
1943 5 75 岐阜
三井神岡
鉱業所
朝鮮人労務者某は所用の為外出し、帰寮時間を遅延し補導員より時間厳守を諭示さるるや、却って反抗的態度に出でたる為其の不心得を諭示したる所、更に反抗的態度に出でたるを以て右労務係員は之を殴打したり 250名全員検束、主謀者15名を除き翌日職場復帰させる 記載なし
暴力
(就業中)
1944 6 61 長野
日本発送電
御嶽水力間組
土建事業場
内地人労務者浅田某と移入朝鮮人労務者大山某とが、作業上のことより国語不解に基き口論の結果浅田は大山を殴打せり 所轄署に於ては一同を厳戒就労せしめたり 所轄署に於ては一同を厳戒就労せしめたり
1943 10 183 佐賀
北方炭砿
内地人採炭責任者某が平素怠慢なる移入労務者某が自己の命令伝達に当り小声にて不徹底なりしより同人を殴打せり 主謀者4名検挙、他の者には厳諭 記載なし
1944 1 福岡
東邦炭坑
内地人労務者が従業中炭車の後押を移入労務者二名に依頼したるに 国語不解のため加勢せざりしため 内地人労務者より殴打せられたる 主謀者11名を検束、厳重警告、釈放 記載なし
1944 6 62 兵庫
尼崎製鉄
…現場指導員上邊某は、五月十七日自己の作業命令を遵守せざる移入鮮人八十名を訓戒中 態度不遜なりし一名を殴打せり。偶々其の場に居りたる同僚鮮人六一名は平素より右指導員の苛酷なる労務管理に反感を… 十数名を検束取調べ、直接暴行者13名を送致すべく厳重取調べ中 記載なし
1943 2 80 荒尾
四ツ山炭坑
朝鮮人労務者一名が昇降車乗用に際し、序列を乱し先に乗車せんとせるを以て、内地人労務者が詰問せるに反抗せるを以て之を殴打したる 主謀者16名検束 記載なし
1943 4 97 長崎
伊ノ島鉱業所
移入朝鮮人労務者某は、平素より内地人指導員が言語粗暴なりと反感を懐き居りたるが、偶々坑内にて国語不解に基く作業の手違より右指導員より殴打され
【引用者註:「国語」=日本語】
関係者23名検挙 記載なし
1943 10 182 福岡
三池四ツ山
炭坑
職場の変更を命ぜられたる移入労務者の態度横柄なるより内地人労務係員が殴打したる 厳諭 不明
暴力
(食事関係)
1943 1 80 福岡
三池鉱業所
万田炭砿
朝鮮人労務者一名が食堂満員なりしを以て、入室を内地人補導員より制止せらるるや、反抗的態度に出で押し入らんとし、右補導員より殴打されたる 主謀者一名検挙取調中 記載なし
1943 6 116 山口
本山炭砿
移入朝鮮人労務者某が食糧不足なりと不満言辞を弄したる為労務係員が諭止せるに 反抗したるを以てこれを殴打せる 主謀者7名検挙、他の者には厳諭 記載なし
1943 7 104 山口
日本鉱業山陽
無煙鉱業所
朝鮮人労務者某が所定食事時間に遅れて炊事場にて喫食中を舎監に発見叱責殴打され居る 説得で解決 将来の労務管理につき警告
1943 7 105 福岡
明治鉱業
赤池炭砿
朝鮮人労務者某が点呼に先ち舎監に食券の交付方請求したるを以て右舎監は点呼終了後、交付すべき旨言渡したるも肯んぜず執拗に請求するを以て同人を殴打したる 主謀者6名を検挙取調中 記載なし
1944 1 北海道
住友鉱業
奔別砿業所
首謀者某が…(中略)…労務係員を無視し居りたるが 偶 食券を悪用したるを訓戒せられたるも、之に反抗し労務係員より殴打せられたる 主謀者12名を検挙取調中 記載なし
1944 6 61 岩手
釜石線工事場
西松組
…朝鮮人労務者金光某が夕食に遅れ帰寮したる追支給されたる事自己の夕食の外 他人の分迄食したる為、内地人指導員佐藤某より戒告され 之に反抗せる為指導員が同人を殴打せる 両者に対し戒告 両者に対し戒告
1943 10 183 佐賀
杵島炭砿
移入労務者六名が、食事に際し胡椒、焦飯を要求喧騒せるを内地人労務係員が訓戒殴打したる 加害者全員検挙取調中 不明
暴力
(勤務外)
1943 7 103 京都
大江ニッケル
工業
演芸会当日演芸係員専用入口より朝鮮人労務者某が入らんとし、係員より阻止さるゝや肯んぜず殴打したる 直接関係者十数名を検挙 不明
1944 4 81 青森
海軍請負
佐々木組
…内地人指導員は炊事場にて之が実情調査中 鮮人炊事夫の態度面白からざるより同人を殴打せる 取調中 取調中
1943 10 183 静岡
日本鉱業
峰ノ沢砿山
訓練期間中は飲酒を厳禁する隊律を破りたる移入朝鮮人労務者某が飯場頭より叱責されるや、同人に対する平素の誤解より反駁せるため殴打されたり 主謀者2名検挙、他の者には厳諭 記載なし
1943 11 89 福岡
赤池炭坑
十月十八日朝食時に際し 移入半島人労務者[蜜](=正しくは山かんむりに蜜)山元慶は 他労務者全員寮食堂に於て食事中なるに拘らず無断自室に食事を運び朝食中を 前記舎監貞岡槌男が発見し 殊に訓練期間中なりし為厳重諭戒を加ふると共に 懲戒の意味に於て「デッキブラシ」を以て殴打したる 2名を糾問中 労務管理の是正につき厳重警告
1944 1 75 樺太
豊畑炭坑
内地人舎監が労務者に対し苛酷なる私的制裁を加ふるため舎監に対し反感を有し居りたる 主謀者4名を検挙取調中 記載なし
1944 2 93 北海道
北炭角田砿
偶本年一月三日金山(注:朝鮮人)は起床時間を経過するも起床せざるを以て佐藤寮長は其の起床を促したるも、肯せざるを以て 棍棒を以て同人の頭部をニ、三回殴打せり 取調べ、一件書類のみ送局 労務管理上特段の注意を払うよう促せり
1944 2 94 佐賀
砥川炭砿
…右を聞知せる労務係員は駆付け 入口に佇立せる朝鮮人某を殴打せるを以て労務者一同は激昂し労務係員に暴行せんとしたるも 他の労務係員の制止により一応鎮静に帰したり。
然るに急報により本坑事務所より応援に来りし労務係員十二名は多少飲酒し居りたるため 「此の喧嘩は不良鮮人の扇動による、主謀者を探し出せ」 とて平素不良分子と目さるる朴外一名を労務室に連行殴打せる
関係者を検挙 不明
1944 6 61 栃木
大倉土木
栗山出張所
…移入朝鮮人土工清原某外十七名は、四月十一日午後六時頃同飯場の衣料品配給に関し不満を抱き一斉罷業せるを以て、同会社土木技術員某は其の不心得を訓戒中言語の行違ひより土工一名を殴打せり 3名に傷害罪を加重して所轄検事局に送致 記載なし
 

分類

記事

事件

警察・当局の対応

場所 事件の発端 朝鮮人
労務者側
鉱山・
日本人側

 侮辱など

侮辱等 1943 6 115 福井
日本亜鉛工業
坑内事故より死亡せる朝鮮人の葬式執行に際し会社側が之に参列せず、且つ屍体焼却の燃料の少き 主謀者10名検挙、他の者には厳諭 記載なし
1943 4 95 神奈川
日本鋼管川崎
川崎市所在川崎製鋼所移入朝鮮人労務者某は、三月十五日川崎市砂子町東二丁目六二番地有隣堂書店にて、東京市麹町区九段一丁目十二番地東洋書館発行に係る「半島技能工の育成」と題するパンフレット一部を購入帰寮したるが、其の内容には、昭和十七年十一月二十四日東京市神田区一ツ橋如水会館に於て、国民勤労研究会(企画院、厚生省、産報等の関係者を以て構成)主催による労務管理懇談会の席上、右製鋼所労務次長高浜政春が、同会社の移入朝鮮人労務者の訓練実情、逃亡原因等移入労務者の取扱に関し機微なる事項を講述したるものを掲載しありたる為、之を閲読したる朝鮮人は「我々を侮辱するも甚し」と激昂し、 主謀者15名検挙 2名を民族独立思想のかどで治安維持法違反とし厳重取調べ パンフレット
発禁
発行者を厳戒
1943 9 101 山口
日本鉱業山陽
無煙鉱業所
本事件の直接原因は被害者勝田が飲酒中同席せる加害者岩本に対し「お前は兵隊に行ったとか、行かぬとか謂ふが朝鮮人だらう」との侮蔑的言辞に端を発したるものなり 12名:傷害致死罪、20名:傷害罪で送局 11名を傷害罪で送局
1943 12 140 兵庫
川崎重工業
製鉄工場
山下時光(注:日本人)の暴行に堪り兼ねたる松原光秋(注:朝鮮人)は山下に対し礼儀知らずと難詰したるに、喫食中の前記山岸彌之助は「ヨボヨボ」と連呼しながら互に近接せんとする山下・松原両名の中に分け入り之を引分けんとしたるに「ヨボヨボ」と言ふ差別的言辞に… 加害者送局予定 内地人指導監督に万全を期すよう警告

 強制貯金・食事・労働条件

強制貯金 1943 4 97 兵庫
大阪機械
製作所
賃金支払に際し、各十円を手渡し残金は強制貯金をなしたる 主謀者10名を検挙取調べ 将来の労務管理につき警告
1943 9 105 北海道
野村鉱業
イトムカ鉱業所
賭博防止の目的にて国民貯蓄、国元送金の額を従来より増加したる 厳諭 記載なし
(但し会社側は貯蓄・国元送金を従来通りとする)
1943 9 106 大分
第ニ陸軍
造兵廠
坂ノ市製造所
賃銀の浪費抑制を目的として国民貯蓄及国元貯金を強化し成るべく現金所持を最低限度とせし所 厳諭 会社側に対し、貯蓄其他に付 幾分苛酷なるものあるを認め之が改善方報告せり
食事 1943 7 103 神奈川
日本鋼管
浅野船渠
朝鮮人労務者は夕食に際し、偶々指導員の食事が彼等のより稍々良質なるを発見 全員検束、主謀者3名以外は厳諭 記載なし
1943 9 106 愛媛
住友鉱業
田坂島製鉄所
内地指導員が無断欠勤せる移入労働者八名に懲罰として減食を施行したる 主謀者3名検挙、他の者には厳諭 記載なし
1943 9 107 福岡
三菱上山田
炭坑
仮病休業防止策として之等に食糧の特配を停止せる 主謀者1名検挙、他の者には厳諭 記載なし
労働条件 1944 1 76 福岡
日本鉱業
移入労務者隊長某が現地募集の際会社より派遣の労務課長の言明と移入後の待遇が相違し 殊に食糧、作業服の給与が甚だしく相違すると舎監を詰問 主謀者を検挙取調中 記載なし
1944 3 79 樺太
遠藤組
同組に於ては十二月分賃銀を炭坑側より一月十五日受領せしにも拘らず二月上旬に入るも之が支払なき 記載なし 賃銀支払を遅延せざること等を指示

 期間満了でも故郷に帰さない

労務期間
延長に
関する
約束不履行
1944 3 80 静岡
土肥鉱業所
…雇傭期間満了となり帰鮮方希望せるも、会社側に於て鉄道乗車券の発売制限せられ居る為、帰鮮は多少遅延の止むなきに至るべきを、前記労務者一同に伝へたり 怠業者一同を懇諭説得したる結果、漸く納得し就労したり 記載なし
1944 6 59 北海道
三菱美唄
鉱業所
…雇傭契約期間満了せる為、翌十四日より期間満了を理由に就労せざるのみならず、継続就労せる同僚鮮人十四名に継続就労解消方扇動する一方、会社側に彼等四名の急速に帰鮮取計方を要求したり 所轄署に於ては一同を厳諭したるに何れも其の非を悟り即日就労せり 記載なし
1944 6 59 福岡
三菱飯塚
鉱業所
…移入朝鮮人労務者六十八名は、客年十二月を以て雇傭契約満了せるも、団体一時帰鮮を条件とし継続就労するに至りしが、四月より輸送の強化に伴ひ容易に実現の運びに至らざる為 事業主側は不誠意なりと憤慨し 四月六日一同は即日帰鮮方を要求し同盟罷業せり 所轄署に於ては、一同を厳諭説得せし結果何れも其の非を悟り即日就労せり 記載なし
1944 6 60 山口
東洋鋼鈑
下松工場
…雇傭契約満了せるを以て予め事業主側に満了当日は全員共に帰鮮を以て便宜に扱ひ度き旨を強硬に要求し居りたる所 輸送の強化に伴ひ、団体帰鮮は翌五月に延期の止むなきに至りたり。而して漸く遷延するは全く事業主側の不誠意によると妄断し 事業主側の事情止むを得ざることの説示を肯んぜず、遂に四月二十二日同盟罷業を決行し急速に之が実現を企図せんとするの挙に出でたり 所轄署に於ては、一同を厳諭説得せる結果何れも其の非を悟り即日就労せり 記載なし
1944 6 60 福岡
貝島鉱業
大江炭坑
…移入朝鮮人労務者四六名は、三月中に団体帰鮮を条件として雇傭契約期間を延長せし所、四月に入り輸送の強化に伴ひ之等の待望せる一時帰鮮も遅延するの止むなきに至れり。然るに之が不満を激成し遂に四月二十三日同盟罷業を決行し之が急速実現方を要求するの挙に出でたり 所轄署に於ては、一同を説得せる結果何れも其の非を悟り即日就労せり 記載なし
1944 6 60 長崎
日鉄北松
鉱業所池野砿
…移入朝鮮人労務者五五名は、一月、二月中の一時帰鮮を条件として雇傭契約期間を延長せしが、輸送の関係上帰鮮遅延の止むなきに至るや、之が急速実現方を要求し三月一日同盟罷業せり 所轄署に於ては主謀者と認めらるる者二名を検束し、其の他の物は厳諭の上即日就労せしめたり 記載なし
1944 6 60 山口
東見初炭鉱
…移入朝鮮人労務者九五名は、三月末雇傭契約期間満了の際、団体一時帰鮮を条件として、継続就労せしも、四月に入り輸送の強化に伴ひ今後一箇月帰鮮延期の止むなきに至るや、五月四日帰鮮せしめざる以上稼動する必要なしと一斉怠業せり 所轄署に於ては少人数宛順次帰鮮せしむることとし解決せり 記載なし



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