在天津・荒川領事発陸奥外相宛て電信 出典:アジア歴史資料センター Ref: C13110346800 廿七年七月廿三日后八時卅分発 同 廿四日前十一時五十分着 貴大臣の第五号電信接受す 袁世凱は昨廿二日天津に着し、同日李鴻章に面会せり 袁の呼戻されたるは其自ら病と称するに因る。而して袁の後任は暫らく任命せられざるべし 左の事項は最も秘密なり 李鴻章は本月二十二日、其書記官羅豊録をして本官を訪問せしめ、内密に告げしめて曰く 李氏は朝鮮事件の局を平和に結ばんと欲する希望を伊藤内閣総理大臣に通する為め、 且つ如何様にして該事件の談判を開くべきやを取極はむる為め、 密使として羅豊録を東京に出張せしむることに決定せりと 且つ、本件に依頼するに、 該密使の東京に到着する迄、在朝鮮日本兵が戦端を開くことなかるべきやを確むることを以てせり、至急回答を乞ふ 羅豊録は在日本清国公使館へ出張の名義を以て出発するの用意整ひ居れり 海関道より公然となく本官に告ぐる所に依れば、清兵の朝鮮に派遣せられたるは外観を装ふ為めにして 実際戦闘の為めに非らざるが故に、京城又は仁川へは往かざるべしと |