資料: 荒川巳次・天津領事から東京・陸奥外相への電報(1894年6月7日)


日本側行文知照の報告です。
ポイントは、日中両軍衝突回避のための措置が中国側からこの時点で表明・提案されている点です。
原典所在は国立公文書館・アジア歴史資料センターWeb:Ref:B03030204900 P8-9。

英語原文と当時の日本語訳の両方がありますが、当時の日本語訳は読み取れない部分が多いので、以下に英文と拙訳を
載せます。当時の日本語訳をご覧になりたい方は、上のリンクからご覧ください。

英語原文

I verbally informed your last telegram to 李鴻章 六月七日 2.p.m.
He told me that has not yet been notified from Peking and expressed his anxiety and his hopes as follows;
As he does not send troops to 京城 Japanese army should not advance any further up to 仁川,
伯爵伊藤 and you should not misunderstand his deed in Corea.
It would be utmost importance to avoid carefully collision between both troops as China always respect Japan,
and also Japanese army as small as possible as the King of Corea and Corean people would be frightened.
Chinese army will proceed to 全州 direct not any treaty port.
He will immediately withdraw Chinese army after the disturbance settled according to the treaty of 明治十八年.


拙訳

閣下の前回電信は6月7日午後2時、李鴻章に口頭で伝えました。
同氏は本官に、本件は北京から未だ連絡されていないと告げ、また以下の心配と希望を述べられました。
 李は部隊をソウルに送らないので、日本軍も仁川から先へは一切行かないで戴きたい。
 伊藤伯爵も閣下も朝鮮における李の行動を誤解しないで戴きたい。
 中国は常に日本を尊重しており、中日両軍の衝突を注意深く避ける事は最重要である。
 朝鮮の王と民が怖れるゆえ、日本軍部隊の規模は必要最小限とされたい。
 中国軍は条約開港地を経由せず、直接全州に向かう。
 明治18年の条約に従い、李は騒擾が収まれば直ちに中国軍を引き揚げる所存である。


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